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Repeat the Present

2022

tape recorder, casette tape, aluminum

300×300×40

 

染織のリサーチをしていく中で江戸更紗のもつ複雑な模様の歴史について興味を持った。

複雑な模様の裏には歴史がある。江戸幕府が時折出した贅沢を禁じた令により、着物に派手な色が使えなくなり、

その結果職人たちは高度な職人技によって複雑で美しい模様をもつ江戸更紗を産んでいった。

僕はその型紙を用いた何工程にも及ぶ複雑な染織を体験した。

次々と違う色が乗っていく途中、空白のような形を見つけた。

そこにはこれから新しい色が乗るかもしれないし、そのままなのかもしれないと思いながら製作をした。

この空白について、これから新たに乗る色について考えた時、

自分の中にあるどこか染まっていない場所について感じた。

年をとると丸くなるだとか、昔は尖っていたとか、

時間と共に何かに染まってマイルドになっていくというのを聞く。

何にも染まっていない部分というのは未来であり未知でもあると思う。

染めないという選択肢も一つの色ならば、

僕はもう少し防染を張って未来について考え、防染を張る限り未来を守れるのではないかと考える。

本作は繰り返される“今”を記録する。をテーマに、防染(色を載せない染色技法)からインスピレーションを得ている。

人繋ぎになった磁気テープに磁気が乗らない細工を施し、更新されていく”今”を記録すると同時に未来を保留する。

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