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古いカセットテープを見つけた。
ステージにマイクを置いて去った歌手の名曲だった。
コピーのせいかテープが擦れていて籠った音が聴こえた。
クリアな音でしか知らないその曲を聞いて
たとえコピーであったとしても僕は当時の音を聴いた気がした。
どんな音源が鮮明になっても、どんなに再現度が高くなっても、
オリジナルの音を僕は知らない。
それでもこの曲が僕に届いたように
何億光年も先に届けばいいなと
僕はテープに音楽を上書きした。
この作品はリアルタイムで録音と再生を繰り返している。
擦れ篭っていく音の中で
僕は綺麗にミキシングされた音よりリアルを感じた。
コピーを繰り返しオリジナルが消えていく中で
リアルな音について考える。
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